紅葉狩り不発

凍っているのは池の周りだけかと思っていたら
結構中ほどまで透明氷が張っています。
試しに割ってみると厚さ1.5cmほど。
軽く山靴で蹴る程度では割れません。
思い切ってフンッ、と蹴らないと割れませんでした。
割り取った欠片を深い部分に放り投げますが、
それが細かな破片に割れ氷面を滑って行きます。


20111008

やってきました秋の行楽シーズン。10月10日を含む三連休は昔から紅葉狩りの季節と相場が決まっています。
久しぶりに遠出してみるか? と言っても一人で行くには涸沢は遠すぎます。(ガソリン代等の交通費)乗鞍も昔に比べ遠くなりました。(距離が延びたのではなくマイカー乗入れが出来なくなりました。)
中央もロープウェイは遠すぎます。西面からでは歩行距離が長く日帰りはきついです。
結局バカの一つ覚えで御岳です。まっ、いいか。

相変わらずまるビのtanuoさんは下道で行きます。高速使っても30分程度の違いなので、1000円/30分はパフォーマンスが悪いです。そんな訳で、4:00 a.m. でっぱつ。
いつも通り三郷を過ぎ森林公園手前で左折。公園内はカーブが多く面倒なので。ところがこれが失敗。新東国橋手前への抜道が工事で閉鎖。遠回りさせられる羽目に。おまけに愛岐バイパスも定光寺から工事閉鎖で瀬戸多治見線へ迂回させられる羽目に。
なんだか気が殺がれちゃったなあ。今日はもっと手前に変更するか?
恵那山は黒井沢への林道が閉鎖だったけど、田立は工事も終わり入山できるらしい。田立にするか?
しかし歩行距離が短すぎるなあ。昔は下の売店からだったからそこそこ歩いたけど、今は粒栗って言ったっけ、かなり上まで車で入れてしまう。Sさんの頃は国鉄(まだJRではありません。)の田立の駅から歩いていたっていうから、これはまた半端な距離じゃありません。まあ近くに行ってから考えましょ。優柔不断なtanuoさんはいつもこうやってどうでも良い事を画策しているのです。(オツムの老化防止には良いかも。)
多治見から19号、スキー客がいる訳でもなしガラガラです。瑞浪バイパスを過ぎ一車線になるといつものように順法闘争車。その後の長距離トラックがイラついているのがまる解りです。こんなのを見ると「ともすれば自分もやっているのか?」と自重の念が起こります。紳士のtanuoさんはしっかりと車間を空けついて行きます。「しかしあの運転は無いわなあ。」(先頭の順法闘争車に対して。)
恵那市の二車線区間でやっと追い抜けます。トラックの運ちゃん、お疲れ様。
その後は順調に進み山口ダムで6時10分。タイムロスも思ったより少なく田立でお茶を濁すよりこのまま御岳まで行っちゃいましょ。
しかしその後も順法闘争車に行く手を阻まれます。痺れを切らせたトラックが追い越したついで、私も一緒に追い越します。そういえば今日から行楽シーズン三連休、行楽マイカーも多い筈です。
極めつけは牧尾ダム沿いの道、橋の工事とかでいつもの対岸を迂回することに。この道はスキーシーズンの抜け道でもあるのですが、シーズン以外はよく工事で通行止めになります。通れる事がわかっていないと通りたくない道です。その道でも遵法闘争車。これって御岳田の原行きに違いありません。全くいやになっちゃいます。

7:30 a.m. 田の原着。
30分以上のロスタイム、草臥れました。一息入れて準備にかかります。
外はかなり冷え込んでいます。長袖カーターを羽織り冬靴を履きます。いつもいきあたりばったりのtanuoさんにしては手回しが良いでしょう? 長袖カッターと言い、スニーカーでなく山靴と言い。

7:55 a.m. でっぱつ。

天気が良い所為かかなり冷え込んでいます。あちこちに霜柱。5cmくらいに成長しています。
それにしては紅葉があまり見られません。スキー場辺りでは結構色付いていたのですが。

紅葉する木が少なくなったように感じます。昔はこの時期の田の原はダケカンバの黄色とナナカマドの赤、そしてハイマツの濃緑で凄く鮮やかだったのですが。それとも今年は紅葉が早かったのかな?色付いている木もかなり枯葉になっています。
その枯葉だらけのナナカマドには赤い実がいっぱい。

長袖を着ていても寒いくらいだったのに、檻の中のお不動さん辺りまで来るとじっとり汗ばんできます。天気が良く日差しもまだ強いので後頭部が焼かれ熱いです。暑さに弱いtanuoさんは上着を脱ぎ半袖Tシャツ。年寄りの冷や水なんて言わないでね。
振り返れば沸き立つガスの向こうに中央の浮島。正面には真っ青の青空と王滝頂上小屋。
山肌には草紅葉も見られません。すっかり枯れてしまったのか、植生が変わり紅葉する草がなくなったのか? そういえば谷筋のナナカマドも殆ど見かけません。昔は谷筋に沿って結構上の方まで生えていたのですが。(昔話ばかりですみません。)


9:10 a.m. 一口水で小休止。
今日は結構水が流れています。その下には融け残った雪と氷。陽射しは強いですが気温は結構低いようです。休みついでに上着を羽織ります。
ん? 首筋が変。ずっと後から陽に焼かれていた所為か首筋が日焼けです。デリケートなお肌ですこと。
燃料補給しながらシルエットとなった中央を眺めます。将棋頭から駒本峰、中岳、宝剣から南のギザギザ、三の沢と手に取るように解ります。人の目って凄いですね、よくもまああんな小さなものでも判別できるものです。


9:30 a.m. おおのぞき着。
谷底の草も枯れはてています。今年ってなんだか枯れるのが早いです。田の原の紅葉も終わっていたし。


9:50 a.m. 王滝頂上着。
今日は風がなく穏やかです。こんな天気は珍しいですね。

剣ヶ峰を目指します。風は弱くてもやはり寒いです。長袖持ってきてよかったなあ。夏ズボンのままでは足が冷えます。下も冬装束にすべきだったかな? まあ天気も良いことだしドンマイドンマイ。


10:25 a.m. 剣ヶ峰着。
この季節にしては凄い人出です。まるで夏? そう言えば登っている最中でも感じましたが確かに若い人が多いです。それも判で押したようないでたち。色使いまで全く同じウエアの人もいました。まるでスキー場のようです。山用ウエアもスキーウエア化しているのでしょうか。ユニクロ製品を代用しているtanuoさんはチトみすぼらしすぎますかね。
祠に参詣の後は北端からの景色を堪能します。
山頂一体は褐色の世界。二の池には氷、継子の向こうに乗鞍。その右奥に槍がおぼろげに見えます。穂高、吊尾根は残念ながらよく見えません。

岩に空いた穴に溜まった雨水が凍っています。気温はまだ0℃近いのでしょう。それでも風が弱いのと陽射しの強さのおかげでジャケットを出すほどではありません。ホント、今日は穏やかな日です。

山頂で記念写真撮影に余念がない人達を掻き分け掻き分け社務所の裏へ。今日も定番一の池回り。

ガスが無いおかげで地獄谷がよく見えます。噴出す蒸気が火山であることを思い出させてくれます。

10:50 a.m. 外輪山北端着。
えへへ、今日も稜線歩きはパスって一の池を横断しちゃいました。
稜線から覗く北側は相変わらず冬枯れの野原。賽の河原のところどころに草紅葉の名残が残っています。既に赤黒く変色していますが。
反対側、一の池には水の流れた跡に霜柱が白く浮き上がっています。

足元の二の池めざして駆け下ります。スニーカーでは四苦八苦するザレも山靴なら滑りながら降れます。あ〜、楽チン楽チン。

枯死したハイマツの周りに白いものが落ちています。枝に付着していた霧氷が融け落ちたようです。幅5cmくらいと結構成長しています。


11:00 a.m. 二の池へ降り立ちます。
凍っているのは池の周りだけかと思っていたら結構中ほどまで透明氷が張っています。試しに割ってみると厚さ1.5cmほど。軽く山靴で蹴る程度では割れません。思い切ってフンッ、と蹴らないと割れませんでした。割り取った欠片を深い部分に放り投げますが、それが細かな破片に割れ氷面を滑って行きます。風も無く放射冷却で冷え込んだからこんなに滑らかな氷が張ったのでしょう。

さてこの後どうしましょ。スタートが遅かったのでもう11時を回っています。とても継子まで足を延ばす事はできません。五の池まで行っても賽の河原までの登り返しがしんどいし、かと言ってこのまま引き返すのは軟弱過ぎます。摩利支天まで行って引き返すかな〜。
という訳で二の池小屋から賽の河原に向かいます。


11:25 a.m. 賽の河原東端着。北東側を覗き込むとドーンと三の池が見えます。いつも瑠璃色の御神水を湛え神秘的です。

三の池とは暫しのお別れ、摩利支天の方へ登ります。乗越からまた拝むまで汗をかきかきの登りです。
振り返れば剣が峰が聳えています。賽の河原の奥には継母が姿を現しました。東に寄ったところで覗き込むとまたまた三の池とご対面。ちょっとガスが出てきたかな?

ここまで来ると継母が端正な姿を現しています。なだらかな御岳のピークの中で唯一継母だけが急峻で男性的です。
正面には摩利支天の乗越。あの鳥居までもうあと少し、なんだ坂、こんな坂。


11:40 a.m. 摩利支天乗越着。

もう直ぐ12時、やはり今日はここまで。上の展望台まで行き周りの景色を楽しみます。

さっきまで見えていた継母に雲がかかっています。雲が取れるまで暫し待機。

やっと見えたところで乗越の東側へ。今度は三の池の俯瞰を楽しむつもりがガスがかかってしまいました。晴れるまで待つついで、腰を据えてお昼にします。きょうはスープ春雨。カップ麺よりお腹に軽いですがこの食感、癖になりそうです。
エサを摂っていると急にガスが切れます。慌ててカメラを構えてパチリ。

微風とは言えこちらは風の陰になりお日様燦々、一足早く日溜りHikeを楽しみます。
ガスが切れると継子岳、四の池、五の池小屋、その前の五の池が見えます。一応これでお鉢巡りも済ませた事にしておきます。時刻は既に12時を大きく回っています。四の池まで回って回れない事はありませんが帰りが遅くなっちゃいます。折角こちらまで来て温泉無しは寂しいです。昔のスキー帰りのように日付が変わっても平気、って言うほどの元気も無くなってしまいました。素直に精神の老化を認めます。
丁度ガスの通り道となってなかなか姿を現さない五の池小屋、昔に比べ随分大きく拡張されています。御岳講の表参道である王滝頂上小屋や剣ヶ峰の小屋の宿泊料が3,800円の時でもこちらは確か2,400円。ひっそり静かな山小屋でした。冬場も前者が完全に閉鎖されてしまうのに対し、こちらは二階の窓を必ず施錠せずにおいてくれて冬季小屋としての山小屋本来の姿を保っていました。まああちら側の何軒かの小屋はそれぞれが別経営で、御岳講の宿泊者の為の完全な商業施設でしたから、サービスの悪い宿屋と考えるべきでしょう。
その五の池小屋が今はあんなに大きくなりこの季節でも結構な宿泊者で賑わっています。昔は濁河から登る人は本当に少なかったのですが最近ではNetのおかげかこちらのルートの記事もかなり目にします。
私も濁河から登った事もありますが、田の原から登り五の池で宿泊、翌日北半分のお鉢巡りをして濁河に降りる方が多かったです。いつしか馴染みになっていた五の池の黒縁メガネにビッコの兄ちゃん、今も元気にしているのかな〜。
そう言えば毎年体育の日の頃に来ていたのでした。雪に降られる事もよくありましたが三の池周辺ではまだ紅葉が残っていた記憶が多いです。真っ赤なナナカマドや濃緑のハイマツが一瞬にして真っ白に染まり、日が射し気温が上がると再び色彩が蘇り、それが一瞬の青空に凄く映えていたのを思い出します。
辺り一面紅葉の中を濁河に降り、いつも入る旅館の温泉では長い階段をずっと降ったところに露天風呂があり、折角汗を流したのに上がって来るのにまた一汗かいてしまったり…。そうそう露天風呂で【昔のお嬢様】集団と鉢合わせ、遠慮しているこちらに向かって「遠慮しないでいらっしゃいよ。」なんて声をかけられたり。昔からおば様達ってパワフルで鷹揚だったんですね。
「汗を流した後にもう一汗」っていうと、濁温泉の反対側ちょうど御岳の南側にあった濁温泉もそうでした。未舗装林道から徒歩で急坂をかなり降ったところにあり、ここも帰りが大変でした。でも電気も通っていない鄙びた温泉でまさにランプの宿。濁川の名の通り本当の泥湯で、真っ白のタオルを湯に浸そうものなら一瞬で黄色に染まるというものでした。
その濁川温泉も長野県西部地震で発生した土石流で宿の一家もろとも一瞬にして流されてしまいました。今では当時の面影など微塵もありません。あれからもう27年ですか。その時まで休火山(歴史上噴火の記録は無いが火山活動が見られるもの)に分類されていた御岳山がこの日から活火山に分類されるようになったのです。その時たまたま中央道を走っていて「御岳の上にキノコ雲が見える。」なんて言っていたのを思い出します。
そうそう濁河から飛騨小坂までのバス、これもスリル満点でした。最後部の座席に着くのがお気に入りで、急カーブでは後輪よりずっと後に突き出た最後尾から窓の下を見るとそこには道路なんてありません。谷の遥か真下に真っ白な流れが見えます。まるで中空に浮いているようです。このスリル、お金を払って遊園地の絶叫マシンに乗るよりずっとお安く楽しめます。今では道路も良くなり昔ほどのスリルは味わえないでしょうね。
おっとっと、また昔話。年寄はこれだから困ります。
さあて、お腹も膨れた事だしそろそろ引き上げますか。

12:30 でっぱつ。
来た道を引き返します。乗越からの降りのザレ、やはり山靴は安定しています。スニーカーでは腰をかがめて重心を下げて降ることになるのですが、ビブラムの深いブロックパターンが小石や砂粒をしっかり掴んでくれます。スニーカーがスリックタイヤならビブラムはスノータイヤって所ですね。
左手の崖下には五の池からのトラバース道が通っています。ここから落とした石は雪崩打ってその道を直撃します。下を通っている人達、その事を知っているのですかね?
賽の河原から二の池までは緩やかな登りです。しかし継子をパスったtanuoさんは疲れ知らず。これくらいの行程がお年寄りのtanuoさんにはちょうど良いようです。

13:10 二の池通過。
まだ凍ったまんまです。今日はもう融けないでしょう。

そのまま剣ヶ峰のトラバース道を行きます。ガラガラの火山独特の光景です。最後の右カーブを過ぎると王滝頂上、奥の院が見えてきます。


13:40 王滝頂上通過。
田の原目指して駆け下ります。なんだかお腹が空いてきたなあ。スープ春雨だけでは腹持ちが悪いです。

13:55 一口水で小休止。残っていたアンパンを齧ります。
う〜ん、甘くて旨い。小豆餡ってどうしてこんなに山に合うんでしょ。糖質、アミノ酸、塩基類等が揃った理想的な食料です。おまけに口当たりも良いし。街中では食いたいなんて全く思わないアンパンなのに。
涼しかったおかげで水もあまり飲んでいません。
草紅葉もなく枯れ果てた草叢にひからびかけたシラタマノキの白い実が残っています。ホント今年は冬の訪れが早そうです。

さあ、もう一息。ガスの間から時折田の原が覗きます。


14:40 田の原着。
下の方の砂利道も山靴なら足裏が痛くならずに済みます。今日は山靴、正解でした。
地面に座り込み山靴を脱ぎ、靴下も脱いでいると、おっとっと、足が攣っちゃった〜。冷えですね、夏ズボンは失敗でした。なんの準備もしないまま出かけるtanuoさんはいつも失敗ばかり。
山頂あたりは既にガスの中。もう寒いだろうなあ。早めに切り上げてこれも正解でした。

好天に恵まれたとはいえ身体はかなり冷えています。さて今日はどこの温泉にするかな? 温泉求めて降って行きます。
【うしげの湯】は完全に廃墟になっていました。また【欅の湯】まで遠回り? そういえばチャンピオンゲレンデへの分岐に【こもれびの湯】の幟が立っていました。いつだったかスキー帰りに寄ろうとして営業が13時からだったので止めたのでした。今日はもうこんな時刻、ちょっと寄ってみましょ。チャンピオンゲレンデの傍なら登り返さなくても別荘地経由で降れるかもしれません。
それで分岐を折れてみると幟に導かれどんどん降ってゆきます。かなり降った所に【こもれびの湯】はありました。
結構車が停まっています。お客さんも多いのかな?
入湯料500円。まあリーズナブルなお値段です。浴室に入るとプ〜ンと檜の香り。これは石鹸の匂いです。檜も使われていますがかなり古くなっています。新しく出来た温泉施設だと思うのですが、泉質の所為でこんなに傷んでいるのかもしれません。
浴槽に浸かるとかなり温めで檜の香りに混じって鉄分臭さが鼻を突きます。かなり鉄分が多いようで濁り具合も濃いめです。しかしこれは思ったより良いお湯です。【王滝の湯】より遠回りする距離は短いのでお勧めです。
営業開始が13時と遅いですが次回からはこの時間に合わせ田の原を出る事にしましょう。
入浴後番台のおばさんに道路を降れば下の道に出られるか訪ねたら行き止まりだそうです。途中の分岐から別荘地へ出られるそうですが、チャンピオンゲレンデの分岐まで戻る方が時間的には早いとの事。まあこれくらいの距離なら引き返しても苦になりません。
施設の周りはちょうど紅葉しています。田の原よりかなり低いところですから、やはり今年は紅葉が早かったのでしょう。
色付きはやはりあまり良くありませんが撮っておきましょう。

既に16時。さあ帰りを急がなくては。
ところがまた途中から順法闘争車に行く手を阻まれます。それが19号に入っても続きます。延々馬篭の分岐過ぎの登坂車線区間まで。tanuoさんも気が長くなったものです。かなりの時間ロス、辺りは既に薄暗くなっています。仕方が無いので中津川から中央道。帰りのこの時間帯なら下道との時間差は1時間30分ほど。1000円/1.5時間ならさほどパフォーマンスも悪くありません。

結局家に着いたのが20時。今日はエライ長丁場でした。(大半が車の中でしたが。)


2011年10月10日11時25分00秒 記

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