春の宮妻 右まわり

稜線上にはいたるところにタテリン。
石楠花の花芽を探しながら行きます。
付いていない木は全く付いていませんが、
大きくはち切れそうな花芽を付けた木もかなりあります。
中には蕾の濃いピンクが薄く透けているものもあります。
もう来週辺り咲き始めそうです。


201200505

今日は子供の日。御在所は大混雑でしょう。それなら比較的空いている宮妻峡へ。
この時期恒例の宮妻峡一周です。終始鎌を眺めながらの右まわり。
土曜日とは言えやはり祝日、道路もよく流れています。これなら余裕で間に合います。
余裕ついでに宮妻峡入り口の展望台から入道の写真でも。ん?山肌にピンクの衣が纏われていません。振り返って雲母峰は? こちらも萌黄色の若葉一色です。「ええっ、アカヤシオも山桜も終わっちゃったの?」

天気はドピーカン。風が強いですが暑くなりそうです。

6:45 a.m. 宮妻峡駐車場着。
T尾さん、Iさんの車が既に停まっています。皆さん早え〜。
他の車も結構停まっています。これも最近の山ブームの所為でしょう。それでもまだ駐車スペースはかなりあります。なんで御在所ばかりあんなに人が集中するのでしょう?
まあそれも織込み済みで今日は宮妻にしたのですが。
車を停めて大急ぎでトイレへ駆け込みます。
すっきりしたところでおもむろに準備にかかります。皆さんお待たせして申し訳ありません。

7:05 a.m. でっぱつ。
キャンプ場へ降り内部川を渡ります。かなり水が多く大股で石飛び。そして直ぐ入道新道の地獄の急登が待っています。風が強く肌寒いのがせめてもの救い。ゼーハーゼーハーと苦しいですが帰り道の最後にこの激降りを持ってくるよりはずっと楽です。
黙々とツヅラ折れを登りやっと尾根に出ます。ここまで来ると傾斜も緩み一段落。
疎林帯を抜けアシビ林を通り抜けますが全く花が付いていません。地面に花の落ちた跡もありません。葉っぱの新芽がかなり伸びています。それを見る限りとっくに花期を終えたような。
シロモジ林も既に花が散り三本指の恐竜の足跡のような葉っぱが広がっています。その先のワラビ地帯も先まで開き最早シダ畑です。
今年は桜が遅いと言われていましたが、桜が咲いてからは急にあわただしく全ての花が花期を終えて行くようです。イワウチワ、アカヤシオ、コブシなど一瞬で終わってしまったような。
本来ならこの時期はまだ山の中腹はアカヤシオ、ヤマザクラでピンク色に染まっているはずなのですが。そしてアシビも今が満開の筈なのですが。アシビは完全に裏年のようです。
ワラビ地帯を過ぎるとヌルヌル滑る粘土質地帯。この辺りのアシビにも花はありません。その先の尾根が細ってくる辺り、ミツバツツジが咲いている時期なのにこれもまた殆ど散っています。天変地異の前触れか?
ここまで来ると視界が開けます。いつもはミツバツツジと一緒に鎌、御在所を写すのですが。

痩せ尾根を抜けると樹林も無くなりいきなり大波小波の笹原に飛び出します。その笹がまた一段と勢いを無くしています。着実にジネグが進行しています。

笹原の傾斜が落ちると山頂は間近。遮るものが無くなり雲母峰の向こうに伊勢平野の街並みが見えるようになります。


8:25 a.m. 山頂大鳥居着。
鳥居の向こうの奥宮に向かって拍手。
振り返って東側に目を遣れば相変わらず草斜面の向こうに伊勢平野と伊勢湾。南側には石大神の大岩と鳩が峰の採石場。その向こうにシャープの亀山工場。巨額赤字を出し台湾のEMS企業から融資を受けるそうですが、あの亀山工場も段階的に閉鎖されるとか。日本の製造業全体の近未来を象徴しているようでなんとも言い難い気分です。見えているにも拘わらず海外に打って出ようとしない若者達。まったくどうなっちゃうんでしょうねえ。いかんいかん、俗世間の事など放っておいて今は山の大気を吸い自然の中に身を委ねる事にしましょう。

奥宮に向かいます。小岐須峡池ヶ谷への道がある窪地まで降ると今まで吹いていた強風が遮られホッとします。地面から湧き上がるムンムンするほどの熱気にむせるほどです。勢いを無くし足首ほどの丈しかない笹の中を行きます。点在するアシビの浮島にも花は殆ど着いていません。この時期は雪でも被ったかのように真っ白に見えるのですが。
中には申し訳程度に花が着いている木もありますが、そのショボイこと、ショボイこと。


8:35 a.m. 奥宮着。
祠の横にまるでお掛けくださいと言わんばかりにコンクリートブロックが椅子のように並べてあります。折角のご好意、素直にお受けします。
傍にはなにやら黄色い花が咲きかけています。

喉を潤しているとIお父さんから柏餅の差し入れ。そうでした、今日は5月5日子供の日。変り種の柏餅で中に白と緑(草餅)の2色入り。美味しく頂きます。
子供が大きくなってしまった今柏餅もチマキも全く買わなくなってしまいました。なので尚更懐かしい味です。
でっぱつ前に先ほどの黄色い花の完全に開いたものを発見。ん? どうもヘビイチゴみたいです。靴底に着いた下界の種が運ばれてきて根付いたものなのでしょう。

傍にはフモトスミレ。これも同様なのでしょう。が、ここは山頂。フモトじゃなくサンチョウスミレですね。じゃあ中腹ならチュウフクスミレ、稜線ならリョウセンスミレ? んなアホな。

8:45 a.m. でっぱつ。
イワクラ尾根へ向かいます。
尾根を降り始めるとあちこちにミツバツツジ。地面に落ちているものもかなりありもう終わりかけであることを窺わせます。

本来ならこの時期、この尾根道にはイワウチワがいたるところに咲き乱れている筈なのに、今日はイワカガミがその代役を務めています。「ちょっと早過ぎるんでないかい?」

イワクラ手前の二重山稜の付け根、毎度お馴染みのイワウチワ群生地も時既に遅し。その中に先にガクだけ残した花穂が立っているものがあります。結局Iさん夫妻は今年のイワウチワは見逃してしまったそうです。あれだけ頻繁に山歩きしていてもこんな年もあるものなんですねえ。
イワクラが近付いてくるとミツバツツジの落花の中にアカヤシオの落花も見られるようになってきました。運が良ければまだ咲いているかもしれません。それにこれだけ足早に花が咲いたのなら、気の早い石楠花がフライングしているかも。イワクラ尾根より鎌尾根の方が石楠花も多いので楽しみです。

9:25 a.m. イワクラ着。

イワクラの膝の上で小休止。
奥の谷を覗きこむと新緑が萌え凄く鮮やかです。ピンク色は既に消えていますがこれはこれで感動ものです。

そんな中、まだ葉っぱの出ていないアカヤシオの木にチラホラと残っている花が見えます。もう落花寸前でクチャクチャに草臥れているのでしょうが遠目には解りません。それだけで大喜び。単純な我々です。

稜線に戻り県境主稜線に向かいます。
途中、奥の沢への降り口を右に見下ろします。新緑に輝く明るい谷です。ここから降りちゃっても良いかな? つい誘惑されそうになります。
エッチラオッチラ主稜線への最後の登り。イワクラ尾根分岐点をパスして巻いてしまおうかな? なんて考えながら歩いていたら先頭を行くT尾さんも同じ事を考えていたようで巻き道へ直進します。やれやれ、少し楽ができました。
主稜線に合流すると水沢峠まで後は殆ど下り。峠からの登り返しがこのコース最大のヤマ場です。
こちらの尾根は西風で気温が低いのか、まだまだミツバツツジが真っ盛りです。ツツジの鮮やかさに見惚れながら降って行くともう水沢峠。


10:20 a.m. 水沢峠着。

ここで身体を休めてしまうと水沢岳への急登が返って大変です。Iお母さんもほんの一口行動食を摂っただけで一気に登ります。
しんどいのは上の砂ザレまでせいぜい10分ほど。そこを過ぎれば傾斜も落ち、すぐ水沢岳山頂です。山頂での小休止を楽しみに、なんだ坂、こんな坂。
ヒーヒー言いながらザレ場に到達。急に開けた視界と汗を拭う西からの涼風。今日歩いてきたところを目で追います。ちょうどこの辺りが中間点。山頂ももう目と鼻の先です。

10:40 a.m. 水沢岳山頂着。
小休止と若干の燃料補給。
この先は大したアップダウンもなく稜線漫歩が楽しめます。今日は素晴らしい快晴、景色にも恵まれ最高です。陽射しが強いですが絶えず強めの西風が吹いておりオーバーヒートする事もないでしょう。但し首筋の日焼け防止にここからはハンカチカーテンをして行きます。
稜線上にはいたるところにタテリン。石楠花の花芽を探しながら行きます。付いていない木は全く付いていませんが、大きくはち切れそうな花芽を付けた木もかなりあります。中には蕾の濃いピンクが薄く透けているものもあります。もう来週辺り咲き始めそうです。


12:10 岳峠着。
鎌尾根から見ていても鎌山頂は過密状態でした。先ほどまで岳峠で休んでいた団体さんが引き揚げたのでここでお昼にします。

陽射しが強く暑いくらいです。おかげで残量の少ないガスボンベでもすぐお湯が沸きます。(これを見越して今日は古いガスボンベを持って来たのです。)
Iお母さんは早々と日傘(雨傘兼用)を差しています。5月とは言えもう初夏の陽気です。

12:50 でっぱつ。
折角来たのだから一応鎌の山頂へ向かいます。

身体を休めた直後の急登、老体には堪えます。ゼーハーゼーハー。

13:00 鎌ヶ岳山頂着。
やはり凄い人です。御在所も推して知るべし。一体どこから湧いて出て来たんでしょ。
祠に拍手の後、北側へ行きます。こちらも凄い人。

時刻記録の為の写真撮影の後すぐに引き揚げます。

間違えて長石谷へ降りちゃわないように気をつけて。
分岐からカズラ谷道を降ります。新緑と道端のイワカガミを愛でながら降ります。
水場で渇いた喉を潤します。山の陰に入り風が当たらず暑かったので尚更水が旨いです。
いつも鬱蒼と薄暗く風も通らず息苦しさを感じる植林帯も今日はなぜか明るいです。良く見ると間伐した小木が切り倒されたままです。このおかげで日が差し込んでいたのですね。植林帯を過ぎ水音が大きくなってくると入り口の滝。
今日は水量が多く迫力があります。

滝から下は沢沿いの平坦路。最後の渡渉点も水量が多く大股で石飛び。
林道に飛び出したところで見上げると新緑が輝いています。鮮やかな新緑、同じ緑でもこんなに色調豊富なんですね。


14:15 駐車場着。
今日は素晴らしい天気に恵まれました。連休最後の鈴鹿通い、常に涼風に吹かれ爽やかでしたが陽射しはもう夏。初夏を思わせる一日でした。
この先梅雨に入るとカズラ谷道はヒルのテリトリーと化します。今日の陽気でヒルも活動し始めたのではないかと気になりましたが、チェックすると被害なし。
さあ後は湯ノ山の温泉へ急ぎます。早く行かないと混雑した御在所から人がなだれ込み整理券発行って事になるかもしれません。
裏道通ってスタコラサッサ。


2012年05月06日12時25分00秒 記

inserted by FC2 system