水温む長石谷

水温む長石谷に沿って下ります。
次々と現れる渕の色がやはり真冬とは全く違います。
長石谷が蛭のテリトリーと化してもう数年経ちます。
安心して道草を食いながら歩けるのはこの時期しか無いのかもしれません。
なら尚の事ゆっくり楽しみながら降る事としましょう。



20120318

3月17日土曜日は終日雨。予報では土日と悪天で月曜は晴れ、明けて20日の春分の日はまた悪天。休日に限ってそれもピンポイントで悪天にするとは、お天気の神様はなんちゅう性悪なんでしょ。
まあブツブツ言ってても仕方がありません。日曜は雨でも良いからメタボ予防に出かける事にしましょ。

朝、玄関を出ると地面はまだ濡れています。空には…、ガスに煙っていますがお月さんが割りと鮮明に姿を現しています。
走り出すとすぐフロントガラスが曇ります。どうやら霧雨のようです。
その霧雨も23号線に乗る頃には上がってしまい道路も乾いています。この分なら御在所も霧雨程度で済みそうです。

6:45 a.m. 湯ノ山最奥駐車場着。
既に数台の車が停まっています。駐車スペースはまだ充分ありますが、暖かくなるにつれ早朝からやってくる暇人が増えて行きます。(←あんたもそのひとりでしょ。)
その中にT尾さんの車も。そして暫くするとIさんの車も。「今日は土曜日とちゃいまっせ。」なんて言われちゃいました。
駐車場にハスキーが一頭うろうろしています。来る人来る人に愛想を振りまいています。首輪がありませんがこの人懐っこさ、飼われていたに違いありません。もう成犬ですがこれだけ人に懐いているのなら、そして飼い主が居ないのなら連れて帰っても良いかな? なんて誘惑に駆られます。でもなあ「建替えたばかりの家に傷が付く!」ってかみさんに言われるのは火を見るより明らか。いや、既に言い渡されていました。後ろ髪を引かれる思いででっぱつです。

7:00 a.m. でっぱつ。
今日はもう殆ど雪は無いでしょう。アイゼンもつるはしも置いて行きます。
T尾さんの話では15日の木曜は山頂付近で吹雪だったそうです。それもこの暖かな雨で消えている事でしょう。根雪の残っている所は別として。
しかし暖かいです。いや湿度も高く暑いです。冬装束のままではもう汗だくです。雨が降っていないのが不幸中の幸い、これで合羽なぞ羽織ったらそれこそ死んじゃいます。
Iさんの今日のお目当てはロープウェイ下のマンサク。他のものはほぼ全滅に近いのにここだけは例年通りの花付きです。

7:20 a.m. ロープウェイ下。
先週同様ここの満作は万作です。

さあ本日のメインイベントも終了した事だし、そろそろ引揚げますか。ん? 温泉はまだ営業していない? じゃあもう少し歩きますか。
岩棚で一息入れます。ベタベタのハンカチを搾ると汗がジュッとこぼれ落ちます。何これ?もう夏なの?
辺り一面ガスの中、ぽっかり空いた窓の向こうに伊勢湾が覗いています。
さて次は地蔵岩のマンサク。どんなかな〜、と見てみると花が四つしか付いていません。フサク〜。その横は? あっ、こちらは結構付いています。同じ場所でもこれだけのムラ、よう解りまへんなあ。
そして少し離れて地蔵岩と一緒に。ん?黄色が全然目立ちません。ショボッ。

キレットを越え凹角上のコブシを偵察。まだまだ蕾固し。まあ里のモクレンも3月末から4月初め、山のコブシは下界の桜が終わってからなので当然の事なのですが。ただ隣のアカヤシオの花芽が赤く膨らみ始めています。いずれも後一月半ですね。

この辺りから道に雪がべったりと残っています。暖かさで緩んだ雪はかなり軟らかくなっており先日までのように神経を使う事もありません。ああ春ですねえ。
北谷テラスの全滅マンサクを確認した後掘割を行きます。あんなに手強かった雪面がかなり融け石が覗いています。滑り難くなった反面、雪の階段が消え段差が大きくなり、これも痛し痒し。
そんな事を考えながら歩いているともう岩稜帯。天気が悪く全然写真を撮っていません。ガスに煙る岩でも撮っといてやるか。

先週のアイスコーティングは無いので歩くのも楽チンです。先週はホントちびりそうでしたからねえ。
上のテラスまで来るとザーザーと水の音。雪融け水が川になって流れています。ホント春ですねえ。

8:35 a.m. 富士見岩着。
な〜んも見えまへん。

摩利支天像のお賽銭入れも氷でなく水が溜まっています。やはり春ですねえ。
朝陽台の雪もかなり融けてしまいました。

消え逝く雪を惜しみ疎林帯の中をショートカット。もっとズボズボ潜るかと思いましたが難なく通過。
遊歩道からそり広場へ。ここの人工雪もかなりグサグサです。でもまだかなり残っています。4月までもつかな?
自然学校前で小休止。汗でベタベタに濡れたシャツが冷たいです。それでも真冬の冷たさはありません。気温は既に氷点下でなく+2℃。先週はM先生から頂いたテルモスのレモネードが旨かったのですが、今日は冷たい水の方が旨いです。やはり春ですなあ。
望湖台へ向かいます。どうせ何も見えない事は解っているのですが。
あんなにあった雪がもうズタズタに途切れています。埋もれていた笹が起き上がり【どこでも歩き】を阻みます。じゃあ三角点に向かう階段でも。その階段も少し行くと雪が消えてしまいました。三角点から望湖台に向かう雪尾根に出ます。「潜るかな?」騙し騙し行きます。
望湖台から記念碑広場へブッシュの中を消え逝く雪を惜しみながら【どこでも歩き】。記念碑広場からも雪面を選び長者池まで。
長者池の氷も融け雪融け水を集めかなりの水量です。下流に目を遣るとまだまだ笹薮は雪ノ下。黒谷下降はこの時期が楽そうです。
峠道も雪が残っているのは最初だけ。すぐ地肌丸出しになります。あ〜、靴が汚れちゃうなあ。

下り始めると雨になってきました。武平峠から降りちゃおうかな〜。

街の方も降ってはいないようですが日が射す気配はありません。


9:55 a.m. 武平峠着。
おしっこしながら考えます。やはり温泉にはチト早いなあ。T尾さんが「3月に入ってから山頂の祠にお参りしてないでしょ。月に最低一度はお参りしないと加護がなくなります。」
それでT尾さんのお子ちゃまは合格できて家の子はことごとく不合格だったのか。妙に納得です。
それでは久しぶりに祠まで足を伸ばしますか。その前に燃料補給して…。
出だしの雪壁はもう姿を残していません。辛うじて雪が残っている程度です。ホント融けるのが早いですね。
峠では小降りになっていた霧雨が、登り始めるとまた降り始めます。やっぱ峠でエスケープすべきだったかなあ。
殆ど雪の無くなった道を行きます。三ツ口源頭部近くの雪庇もかなり小さくなりました。大胆にもあの上を歩いていた人達もさすがに今日は大人しく夏道を歩いています。
雨の中、山頂着。久しぶりに鎌山頂の祠に参拝。時刻は…記録無し。雨の中店を広げ出したT尾さんに下でお昼にしようとサジェッション。こんな雨の中では落ち着いて食事を採る事ができません。
久しぶりに長石谷から降りる事にします。「長石は(距離が)長いし〜。」を皆で連発。皆さん単純なお子ちゃま気分。
本当に久しぶりです。この冬は一度も歩いていない事に気付きます。鎌自体あまり来ていませんでした。だんだん軟弱になっていく自分に気付きます。これではメタボ予防も期待薄ですなあ。
日当たりの良い所のショウジョウバカマの偵察も兼ねて降って行きます。そうそうバイカオウレンの偵察も。
傾斜が落ち、流れが緩やかになった所でお昼にします。ちょうど雨も止んだみたいです。カップ麺と紅茶で芯から身体が温まったところででっぱつです。
1mmほどの新芽が暗い曇天の中、妙に鮮やかです。足元の苔も春を感じてか色鮮やかです。


12:10 犬星滝。

雪融け水で水量が増え圧巻です。「今年はこの滝の氷、見てないなあ。」って声が聞こえます。久しぶりにやってきたらもう春でした。鈴鹿の冬は短いです。
水温む長石谷に沿って下ります。次々と現れる渕の色がやはり真冬とは全く違います。
長石谷が蛭のテリトリーと化してもう数年経ちます。安心して道草を食いながら歩けるのはこの時期しか無いのかもしれません。なら尚の事ゆっくり楽しみながら降る事としましょう。

久しぶりの長石谷も堰堤を降り三滝川を渡ったところで終了です。
その三滝川の流れで、皆さん靴やスパッツを洗っています。これって誰の影響? 悪貨は良貨を駆逐する。朱に交われば紅くなる。まっ、人様に非難されるような事ではないのでかまいませんか? 単純に手抜きなのですが。
皆さんが道具の手入れをしている間に水の造形でも写しておきますか。

そして三滝川を渡った所には水滴と新芽の競演。


13:05 駐車場着。
そこには朝のハスキーが待っていました。
片付け物をしているとハスキーが寄って来て愛想を振りまきます。車のドアを開けると乗り込まんばかりに寄って来ます。ただ遠慮がちに許しが出るまで乗るのを待っているようです。
う〜ん、弱ったなあ。心を鬼にして乗車は許可しません。そして後ろ髪を引かれながらハスキー置き去り〜。
来週もまだ居たら連れて帰ろうかな〜。

帰宅後かみさんに話したらあえなく却下。ふ〜、やっぱりダメか。


2012年03月19日21時50分00秒 記

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