大雪本谷雪遊び

果てが無いようなラッセルからももうすぐ開放されそうです。
ドンツキがすぐ傍まで迫っています。
しかしこれが遅々として進まないのですねえ。


20120204

週初めにT尾さんからお誘いメール。本谷-鎌-三ツ口左俣のフルコース。
左俣はまだ雪が軟らかくて難しいでしょう。でも年が明けてからまだ鎌まで足を延ばしていません。来週はもう2月、雪に埋もれた山頂祠に初詣に行かなくては。という事で二つ返事で返信しておきました。
ところが木曜日には名古屋は近年稀に見る大雪。鈴鹿も降っている筈です。こりゃ本谷だけで精一杯かな。

2月4日土曜日、早朝から23号線は大型トラックが目立ちます。両車線を塞ぎトロトロと走ってござる。景気回復のバロメータだと言い聞かせ流れに任せて走ります。
湯ノ山街道に入っても遵法闘争車が後続車を従えて走っています。湯ノ山IC付近の2車線区間で追い越した後、いつものコンビニをパスします。折角追い越した遵法闘争車にまた捕まるのも厭ですから。
そして少し先のコンビニでエサの調達。出ようとしたところでM先生とばったり。それではまたご一緒しましょうかねえ。

6:50 a.m. 湯ノ山最奥駐車場着。
常連さん達は既にご到着。途中の道の駅で朝のお勤めに励んでいたtanuoさんが最後です。皆さんを待たせたままおグズのtanuoさんはおもむろに仕度を始めます。

7:10 a.m. 仕度を終えでっぱつです。
今日は総勢5名。駐車場の様子から結構な積雪が予想されますが、これだけいれば心強いです。でも鎌までは無理でしょうね。
今日は我々が先頭と思っていたら山の家からトレースが付いています。途中で谷の方へ降りていますが我々は巻き道を行きます。先週同様獣のトレースを辿ります。
谷へ降りたところで先ほどのトレースの主と鉢合わせ。まだ若い兄ちゃんの二人連れなので先を譲ります。
その後、前後しながら行きます。先週のトレースは綺麗に消え、先頭に立つと雪に隠れた石の状態がわからずよく滑ります。ドボンしちゃ堪らん。と先週同様川原を巻いて行きます。木の枝に積もった雪を頭から被り、それが首筋に入ったりする度大声を上げながら行きます。

8:00 a.m. 不動滝着。
若干凍っているって事は先週より冷えているのでしょう。

ここまで50分。ツルツル滑り結構体力を消耗しています。やはり鎌は無理ですね。
石に乗っても滑らないようにここでアイゼンを着けます。
巻き道を行きます。谷に降りたところで早めに谷に戻った二人組をパスします。アイゼンのおかげで皆さんハイペースです。湿雪ですぐ団子になる35年前のシャルレを履いているtanuoさんは滑りやすくて四苦八苦です。
だんだん大岩が近付いてきます。ツララのフリルの付いたミニスカートを履いた大岩は艶かしい美しさです。つい下を覗きたくなります。(中年オヤジは下品ですな。)

右横の凹角から攀じます。アイゼン履いてると楽チンですなあ。
大岩の上で小休止。T尾さんから草大福ふるまわれます。う〜ん甘くて旨いですなあ。
追いついてきた二人組みもここで休憩。それじゃあ我々は先に行きますか。
全員先頭を交代しながらラッセルに励みます。雪に隠れたスタンスを探したり、強引に乗り上がったり。ゼーハーゼーハー、クライマーズハイ。ハイな気分でお喋りも弾みます。小滝の連続帯もてんでばらばらに攀じ登っています。ルートは水。水際が皆さんお好みのようで。(雪を穿らなくて良いですから。)
突然現れる見事な氷柱につい歓声が上がります。

大黒滝の谷に入る手前、で振り返ると雲母峰の隣にピンクに輝く伊勢湾。一息ついてまたラッセル。

右岸に渡る手前、左岸側からの押し出しが強烈です。下手をすると雪を踏みぬき身長ほど潜り込んでしまいます。足元の岩をつるはしで探りますが手ごたえがありません。一体どれだけの深さなんでしょ? 全員四苦八苦しながらなんとか右岸に移ります。
かなり雪が積もっておりしっかり締まってさえいれば難なくバンドまで這い上がれるのですが、いかんせん降りたてスカスカの雪です。乗っても埋めても沈み込みは停まらず。スタンスは掘り起こしたのですがホールドがありません。私のつるはしは氷には絶対に刺さらない40年前のウッドシャフト。2-3回トライするものの結局ギブアップ。隣の木の枝に逃げます。
2番手のIお母さん、お父さんのバイルを借りてダブルアックス。さすが氷に刺さるアックス二刀流、あっけなくクリアしちゃいました。続く皆さんもアックス二刀流。ロートルtanuoさんだけが手抜きしちゃいました。
その後は何を血迷ったか雪の深い谷芯を行きます。ブタもおだてりゃ岩登る、いやtanuoおだてりゃ雪泳ぐ。スカスカの足場を固めながら谷芯をラッセルして行きます。こうやって遊んでいる内に先ほどの二人組みが追い越して行きました。
そして最後の氷の小滝を攀じ登ると目の前には真っ白に輝く氷の宮殿。そうです大黒滝です。

いろいろとアングルを変え日が射すのを待ちます。おおっ、晴れてきました。

美しさを充分堪能した後、大黒滝と別れ巻き道へ回ります。先行の二人組みが雪の深さに四苦八苦しています。その後を辿らせて貰います。
滝上へ抜けた後、二人組みが滝の方へ降って行きます。余りにも綺麗に凍っているので上からザイルをフィックスして登るそうです。Iさんが「トップロープ」と言っています。どうやら最近は上から垂らしたザイルで確保しながら登る事をそう言うようです。「へ〜。」いにしえ親父は知らない事ばかり。
それではまた我々がステップを切りながら登る事とします。
T尾さんが「直登、直登。」と言います。ブタもおだてりゃ岩登る。おバカなtanuoさんは樋状滝にルートを取ります。小さなスタンスに身を預け雪壁を攀じります。最初の数mを越えれば後はスカスカの雪が詰まった急なルンゼ。ゼーハーゼーハーゼーハッハ。息が切れたところでトップ交代。次の悪場はT尾さんにお任せ。

その後はウズウズしていたおかあさんにも楽しんで貰います。狭い氷柱のかかった凹角を摩り上がって行きます。登る度氷柱のスタンスが崩れて行きます。最後の人、登れるかな? あっ、俺じゃん。「スタンス残しといてよ〜。」
氷は出っ歯をガンガン蹴りこまないでね〜。女の子だと思ってそ〜っと、そ〜っと。チョット掛かっているだけでも充分体重は支えられるものです。

三角岩跡まで抜けたところで急に深くなった雪に立ち往生。この先上へ行くほど雪が深くなるので先が思いやまれます。
潜り岩右側のフェイスを攀じます。雪に隠れたクラックを掘り出し、ちょっとした冬の岩登りを味わいます。難しいのは最初の数m、後は半分凍りかけた雪が張り付いたスラブ。これは無雪期より簡単です。
攀じった目の前には綺麗な氷柱。ツララ、ツララ、ツラツララ〜。リンダちゃんとちゃうちゃう。

10:40 a.m. 潜り岩の上に抜けて小休止。
もうこんな時刻。上に抜けるまでもう2時間はかかるかなあ。
休憩もそこそこでっぱつです。うわ〜、凄い雪。おまけにスカスカでちっとも進みません。先週付けたトレースはどうやら遥か下に埋没してしまったようです。
雪まみれになりながら登ります。締まっていない軟らかな雪に四苦八苦、体重の軽い人が羨ましいです。
皆で交代しながら行きます。トップはしんどいですが最後尾は遅々として進まない為身体が冷え切ってしまいます。
そうこうしている内ひとり追いついてきました。皆でトップを交代します。
そんな中T尾さんのタフさは頭抜けています。身体だけでなく口も全開です。完全に体内モルヒネに酔っています。まさしくクライマーズ・ハイ。
トップがラッセル中に、暇なtanuoさんはあちこち撮影です。朝の内曇っていた空も青空が広がり日も射してきました。先週と打って変わって良い天気。やはり皆さん晴男、晴女。

果てが無いようなラッセルからももうすぐ開放されそうです。ドンツキがすぐ傍まで迫っています。しかしこれが遅々として進まないのですねえ。


12:30 ドンツキ到着。
やっと着きました。やはり潜り岩から2時間。ここから少々急ですが大黒尾根へ攀じ登ります。そして大黒岩の辺りでお昼にしましょう。


12:40 大黒尾根稜線到達。

大黒岩の下をトラバって展望台へ。
しっかり草臥れましたが充実感も満点。眼前に見える三ツ口左俣を眺めながら「来週はあそこ!」とはT尾さんの談。

日が射すとポカポカ暖かいのですが陰ると寒いです。風の陰を求めて大黒岩の真下へ戻ります。ここで円陣を組み昼食パーティ。
飲むととてもハイな気分になれる清涼飲料水を燗付けて回し飲み。フルーティで旨いですなあ。蜂蜜入りのコンニャク(コニャック?)も甘くてはらわたに染みとおります。しらたまの胃に染みとおる冬の日の○○は静かに飲むべかりけり。いや静かどころかドンチャン騒ぎ。ロープウェイのお客さん、何事かと思っていたでしょうね、きっと。
シャモニ土産の手作りサラミをバーナーの火で炙りおつまみとします。こりゃむちゃくちゃ合いますなあ。
たらふく食って飲んでメタボが進行してしまってからまた一汗かく事にしましょう。
あっ、その前に、デザートにモロゾフのチョコレートとリンツのチョコレート。ちょっと早いですがバレンタインデーだそうです。神戸の味とスイスの味を堪能したところでぼちぼちでっぱつ。
降りは中道と言っていましたが。大黒尾根の途中から本谷に降りそのまま下降する事とします。だって登るのしんどいんですもん。
グサグサ雪は滑り難く、余程傾斜が強くないと全く滑りません。そうです。崖のようなところでないと。
そしてステップを外すと軟らかすぎて滑るどころか潜って行きます。ヒ〜、これもしんどいですなあ。それでも降りとなれば早いです。所々登りで苦労した所は降りでもやはりしんどいです。しっかり雪が剥がれ落ちたところをクライムダウン。半分滑り落ちていました。
大黒滝を過ぎると傾斜が落ちトレースに沿って歩いて下ります。
沢から離れる所でアイゼンを外し身軽になります。皆さん底にダンゴ防止プレートの着いたアイゼンですが、tanuoさんのはダンゴ製造機付きです。つるはしで叩いてダンゴを落としながらでないと危なくて仕方がありませんでした。でもこんな事するの久しぶりですな。返って楽しかったような。

15:15 駐車場着。
結構時間がかかりました。さあ早く温泉に急がなくっちゃ。
振り向くと午後の日を受けて御在所が朝とは違う顔を見せていました。



2012年02月05日00時55分00秒 記

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