奥の沢もみじ狩り

待ちに待ったお日様が顔を出したと思ったら、
すぐまた雲隠れ。
それがカメラを構えたらなので、
まるでお日様におちょくられているみたい。
ホント今日のお日様は性悪です。


20111120

そろそろ奥の沢の紅葉も見頃かな。と思っていたところにお誘いメール。日曜は雨だと思っていましたが、予報を見るといつの間にか晴マーク。
諸事情と天秤にかけ、雑用を先延ばしして誘惑に身を委ねる事にします。
体調もまだ万全じゃないので最短コースで入道新道からイワクラ尾根、奥の沢下降とします。
このコース取りなら入道から常に鎌、水沢の中腹の紅葉を楽しみながらの稜線歩きができます。この時期紅葉と常緑樹の緑とのグラデーションが綺麗なところです。

朝、家を出ると地面はまだ濡れています。まだ暗い空にはぼんやりと雲が月明かりを映しています。晴れ間もあるのですが時折雨粒がフロントガラスをたたきます。予報では晴マークだらけだったので晴天を疑いもせず鈴鹿を目指して走ります。
三重県に入ると鈴鹿の山並みが雲に閉ざされています。それでもまだ晴天を信じています。
菰野町辺りまで来るともう疑う余地はありません。山は完全に雨模様です。帰っちゃおうかな?と思いながらもここまで来たついで、皆さんの顔を見てから引き揚げる事にします。
宮妻峡の駐車場まで来るとT尾さん発見。引き揚げるにしてもまず朝のお勤めを済ませてから。下の大駐車場まで行きトイレに駆け込みます。
トイレから戻ると…、いつの間にか青空が覗いています。こりゃ引き返す口実が無くなっちゃいました。それでは仕度にかかります。
お隣の車は若い男女。同じグループが3台に分乗して来ているようです。良いですね、若いだけで見るからに爽やかです。先週の御在所といい、ホント若い人が増えました。そろそろ私も身の引き時? 「老兵は死なず、ただ立ち去るのみ。」なんちゃって。

7:05 a.m. でっぱつ。
ちょうど背後から朝日が射し正面の林が赤く照らされています。これもモルゲンロート?

沢を渡り入道新道を行きます。いきなりの急登、いつもながら堪えます。御在所中道、鎌カヅラ谷道、そして入道新道、いずれも負けず劣らずです。
気温の高さも手伝い、季節に合わない汗のほとばしりようです。
やがて疎林帯の尾根に出ると幾分傾斜が落ち風が通るようになります。大汗に濡れた身体には少々冷たいくらいです。
殆ど姿を消してしまった笹薮がその名残を所々に残しています。この辺りも腰高を超える笹が連なっていたなんて、今の景色を見る限り窺い知る事は出来ないでしょう。
尾根がだんだん細って来ると右手西側の視界が開けてきます。

期待通り主稜線中腹の紅葉が綺麗です。稜線近くは雲の陰で蒼く沈んでいます。もう少し陽射しが欲しいところです。

疎林帯が切れると、いかにも入道らしい笹原の急登となります。今ではくるぶし辺りまでしかない笹の丈も数年前、いや既に10年くらい経つでしょうか、それまでは腰から胸の丈が有りました。雨の時など両側から覆い被さる笹からの貰い水で全身ずぶ濡れになったものです。そこに点在するアシビの浮島もなんとはなしに元気がなくなったような気がします。
次第に高度を上げ、振り返ると鎌-雲母の稜線が一望できます。鎌山頂は雲隠れしちゃいましたが雲母は全体に日が射しまさに全山紅葉。
この秋は結局雲母には行かずに終わってしまいそうです。

三重県側は青空が広がっているのに主稜線は雲がかかっています。その雲から飛ばされてくる小雨がだんだん強くなってきます。朝の生暖かさが一転、強風に手がかじかむ初冬の様相です。皆さんカッパや上着を羽織ります。
傾斜が落ちると北尾根の頭。山頂の鳥居経由で行く事にします。
雲の下に水沢一帯の道路が輝いています。雨で濡れているのでしょう、まるで水路のように日を反射しています。


8:40 a.m. 入道山頂の鳥居着。

息を整え奥宮へ向かいます。池ヶ谷分岐の窪地を通ります。急に風が遮られ薄日を背に受け季節が春に逆戻りしたかのようです。あ〜暖か暖か。
歩く人が増えたのか細い道がヌタ場になっています。今日も山靴で来てよかったですわ。
奥宮に寄ってお参詣。ここも冬場はよい日溜りを提供してくれます。
アシビ林を抜けイワクラ尾根に出ます。通り雨も行き過ぎ薄日が射す中の下降です。ここから望む水沢-鎌主稜線東面の紅葉が圧巻?と言いたいところですが日光に恵まれずイマイチ。それでも雲の隙間から射すスポットライトがどんどん移動してゆく様が見事です。

天気は回復傾向、イワクラに着く頃にはすっかり晴れている事を期待して先を急ぎます。
最低鞍部手前まで来ると松ノ木谷東斜面の紅葉が見事です。こちら側は雲も薄く主稜線より鮮明に見えます。が、手前の枯れ木が目障りです。

鞍部まで来ると周りは光でいっぱいです。谷間を覆う紅葉が透過光に輝いています。高度的に低いおかげか楓が多くその赤が鮮やかです。そりゃあヤシオ類のくすんだ赤より楓のほうが綺麗に決まってます。


9:45 a.m. イワクラ着。
かなり回復したようですがまだ雲が多いです。鎌の山肌を光と蔭の斑模様が流れて行きます。

こちら側もまだ曇りがちで全体に暗いです。もっと光を! もっと光を! お日様、出て来〜い!
待ちに待ったお日様が顔を出したと思ったら、すぐまた雲隠れ。それがカメラを構えたらなので、まるでお日様におちょくられているみたい。ホント今日のお日様は性悪です。

イワクラのお膝元に移動し光を待ちます。お日様、出て来〜い!

天気が良くてもっと暖かならここでお昼を。と思っていたのですが、これでは冷えちゃいます。もう奥の沢分岐へ向かいます。


10:05 a.m. 奥の沢分岐着。
ちょうど奥の沢を上って来る人がいます。休憩しているとまたひとり。珍しいですね〜、こんなマイナーな所から登ってくるなんて。最近の山の混雑を避ける為にこんなところへ来るのでしょうか。
そんな話をしていたら、「あんたらがホームページで宣伝するからや。」とT尾さん。エ〜、原因は自分自身だったってかいな。

さて、ぼちぼちでっぱつ。
相変わらず曇りがちで鮮やかさはありませんがそこそこ色付いています。

「お日様出て来〜い。」と念じながら待っていてもなかなか顔を出しません。「出したかな?」と思ったら一瞬でまた隠れます。ホント今日のお日様は焦らすのが好きです。「ちょっとだけよ〜。」と言っているみたいです。カトちゃんじゃあるまいし。
紅葉がダメなら足元の苔や苔むした岩を撮っておきましょ。

お日様待ちを繰返しながらのんびりと降ってゆきます。どうせ時間はたっぷりあるのだし。

降るに従いシャイだったお日様もだんだん人馴れしてきます。

そしていよいよ青空も現れだしました。やはり日光と青空、あるのとないのとでは発色が全然違います。

そしていよいよ林道が近付いてくると、暗い谷間の蔭を背景に紅葉が透過光に輝き始めます。


11:20 a.m. 林道に合流。
1時間余りをかけての奥の沢のんびり下降。ちょっと光線が乏しかったですが充分楽しめました。
谷筋の紅葉が綺麗なのは山の北面が綺麗なのと同じで暗い蔭を背景に陽光に照らされた紅葉が光り輝き、そのコントラストが強烈だからでしょう。
北面の場合、遠くから離れて見る事が多く葉の表側の反射光を見る事になります。谷筋の場合は下から見る事が多く葉の裏側、透過光を見る事が多いです。いずれも綺麗なのですが、透過光の方が一層輝いて見えます。そんな講釈よりもまさに「百聞は一見に如かず。」です。
林道越し正面には雲母峰が紅葉に輝いています。

天気はすっかり良くなり、紅葉の木漏れ日の下の林道歩きとなります。

本来林道歩きが大嫌いなtanuoさんも、この季節ならさほど気になりません。紅葉狩りを楽しみながら歩いている内、気が付けば終わっていた。というのが正直なところです。
そして今日も、気が付けば駐車場は目と鼻の先。


12:10 a.m. 駐車場着。
小一時間の林道歩きも紅葉を楽しんでいる内にあっというまに過ぎていました。なんだか林道歩きが嫌いじゃなくなったような…。ウソウソ。
さあこの時刻なら湯ノ山まで行っても温泉は混んでいないでしょう。
ロートルのtanuoさんには今日くらいのコース取りが丁度体力的にも合っています。…軟弱カマボコのtanuoさんです。(軟弱が板に付いた)

さあ、湯ノ山までひとっ走り。


2011年11月23日11時45分00秒 記

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