芸術の秋

山をやっている人って
多趣味な人が多いのは今も昔も変わらないようです。
絵有り写真ありイラストあり、
ジャンルに拘らない、
サロンのように権威に拘らない。
フランス近代のアンデパンダンのようなものですね。


20110918

どうやら周期の波に嵌ってしまったようで、このところ毎週末天気がよくありません。
若い頃はこんな天気の波に腹立たしく思ったものですが、この年になると一向に気になりません。
「まあそんな事もあるわなあ。」と達観しています。これって人間が出来たって事? いやいや単に物事への興味が無くなっただけのようです。言い換えれば精神が老化したって事。ジジイの領域に入ったtanuoさんでやんす。
三連休全滅と思っていたら土曜日は晴れ間が現れるおかしな天気。天気予報を確認するといつの間にやら日曜日は晴マークのオンパレード。じゃあ行ってくるか、メタボ予防に。そうです、tanuoさんの御在所通勤は最早メタボ予防しか目的が無いのです。
明けて日曜の朝。すっかり日の出が遅くなりました。明け始めた空は快晴ですが西の方は大きな雲が居座っています。そう簡単に山が好天になるとは思えないので山靴も車に放り込みます。先々週のように土砂降りに遭遇する事もありえますので。

スカイラインに入り暫く行くと降りてくる車がいます。
「もしかして?」と思った通りゲートが締まっており手前に駐車して準備をしている人達がいます。軟弱tanuoさんはそんな元気はありません。急いで向きを変え温泉街の奥の駐車場に向かいます。天気は曇天、運がよければ人出が少なく奥の駐車場に停められるかもしれません。
そして滑り込みセーフ。こうなると曇天様様ですわ。

7:05 a.m. でっぱつ。
一足先に到着していたIさん達は今日も藤内小屋へ行くそうです。じゃあ私も作品鑑賞にお付き合いしますか。
今にも降り出しそうな天気。先々週はザックの中身全てがずぶ濡れだったので最初からザックカバーを着けておきます。防水性ゼロのザックにこれまたジャジャ漏れのザックカバー、割れ鍋に綴じ蓋ならぬ、割れ鍋に割れ蓋ですな。それでも多少は濡れが少なくなる事を期待して。…ホント貧乏人って哀れですなあ。まっ、いいか。死ぬわけじゃなし。
足元にはキンミズヒキ。もうすっかり秋ですねえ。

中道から裏道への迂回路を行きます。かなり水が流れたような荒れ具合です。
途中にある小沢もいつにない水量です。山靴正解。スニーカーじゃあ最初からずぶ濡れです。水漏れしない山靴って最高!
裏道に抜け北谷を覗くとこちらもかなりの水量です。ただもう水は澄んでおり降りたての濁流ではありません。昨日降った水のようです。渕が深くなり薄っすら蒼い水が返って綺麗です。

藤内小屋の前には数人が休んでいます。小屋はもう開いていますが小屋前の展示スペースには作品がかかっていません。そうかこんな天気では展示する訳にも行きませんなあ。
そんな話をしていると小屋の中で観るよう薦められました。お言葉に甘え中で作品鑑賞。皆さん頑張ってますねえ。山をやっている人って多趣味な人が多いのは今も昔も変わらないようです。絵有り写真ありイラストあり、ジャンルに拘らない、サロンのように権威に拘らない。フランス近代のアンデパンダンのようなものですね。でもこれが本来の形だと私は思います。
鑑賞しながら名前も知らない人と雑談に花が咲きます。ふと外を見るといつのまにか土砂降り。「あ〜、山靴にして良かったなあ。」と思うと同時に「もうこのまま引き帰そうか。」全く軟弱tanuoさんには困ったものです。「それじゃあメタボ予防にならんだろうが。」
長居していたら今度は急に晴れてきました。外からの明るい光が差し込むとそれぞれの作品が急に明るく自己主張し始めます。皆さんそれぞれが選び抜いた力作揃い。やはり良い光線の元で観て欲しい。とでも言ってるようです。

天気も良くなりそうだし、ぼちぼち出かけますか。という訳でまた山靴を履きお出かけです。
そうそう、小屋に入り小屋の中の様子を未だに記憶していた事に気付きました。お金を払って泊まった事はありませんが、何度か入った事があります。岳連主催の行事が雨になった時などいつも気前良く使わせて頂いたものです。大抵は北谷小屋を使うのですが時折端折って藤内小屋を使わせて頂きました。そんな大昔の事を未だに覚えているのですね。夕べのご飯が何だったかは覚えていないのに。

8:20 a.m. 藤内小屋発。随分長居しちゃいました。
不動沢への分岐のすぐ上、いつもは滑滝になっているところが今日は綺麗な滝になっています。

水害の前、この滝の辺りには顕著な滝があったのを思い出します。あの頃は樹林帯の中を通ってピョンの耳に出たものですが今では巨石累々の河原歩き。まるで中央の滑川を歩いているような雰囲気です。
そうそう小屋での展示品の中に水害前のピョンの泊り場からの藤内の写真がありました。泊り場付近の緑と紅葉、その向こうにバットレスと前尾根。今の景色しか知らない人がみたら、ここは何処だろう?なんて思いますよね。
でも水害のおかげで今まで見えなかったものが見えるようになりました。中道キレットから北谷に落ちている谷の出合です。今日のように水が多いと滝がかかるんですね。

相変わらず曇天ですが降っているのかどうか解らない霧雨です。振り返ると菰野の町辺りが日に照らされているのが見えます。昼くらいには上がるかな?

ピョンの耳辺りから北谷左岸の旧道にほぼ沿って行きます。見通しが良くなり来る度につい同じ写真を撮ってしまいます。

Iさん曰く「裏道ってあまり通った事がないんです。」
「そう言えば僕もあまり通った事ないんです。」大体行動パターンって似てるんですね。
そんな事を言っている内に北谷の滝。崩れても前と同じところに滝って出来るんですね。下部の流れと滝本体を樹間からパチリ。

傾斜が緩くなってくるともうすぐ国見峠。国見峠から御在所へ。北冷水の水場(大昔は水場でしたがスキー場が出来てからは飲用不可)もかなりの水量です。ほぼ山頂に近いのにどこからこんなに湧いてくるのでしょう。
道端にはあちこちにアキノキリンソウ、ママコナ、そしてアザミ。

山頂遊歩道をアゼリアまで。ここで恒例の小休止兼燃料補給。
望湖台はパスし武平峠に向かいます。チロリン村バンガロー跡のノリウツギは結実した実がぎっしり。そのまわりの飾り花は褐色に枯れたまま残っています。そして実は付いていません。めしべもおしべもない飾り花だから当然ですか。
道端には相変わらず、アキノキリンソウ、ママコナ、アザミ。この時期めあたらしいものはありません。菰野菊もすっかり終わったようで一輪も見止められませんでした。

10:35 a.m. 武平峠着。
トイレ休憩兼小休止。先々週咲いていたホトトギスは今日は結実したものが残っているだけ。あれも花期が短いんですね。
小休止の後はメタボ予防の為鎌を目指します。ゼーハーゼーハー。
道端には飽きもせず、アキノキリンソウ、ママコナ、アザミ。

雨に砂が洗い流され岩のフリクションがよく効きます。Iさんはそのフリクションが気持ち良いようです。曰く「岩の無い山なんて、クリープを入れないネスカフェのようなものだ。」あ〜、こりゃかなり重症です。こうやって皆さん嵌り込んで行くんですね。
濡れていてもこのように汚れが洗い流されてしまうと結構フリクションが効くものです。おまけにここらは花崗岩、場合によっては乾いている時より良く効きます。
これだけフリクションが効くとどこでも登れちゃいます。新規ルートを開拓しながら(大袈裟な!)鎌山頂着。
時折青空が覗いたりするのですが直ぐガスに埋もれてしまいます。それでも日に焼かれるより涼しくて爽やかです。まだこの時期の陽射しは強烈で、日が射すと同時に身体中をジリジリ炙られている事を直感します。

山頂南側は砂地、地面が濡れているので北側の岩の上で休憩する事とします。荷物を置いて鎌の神様にご挨拶。
たっぷりの紅茶を沸かします。3人分に対してティーバッグ1袋。うん、久々の馬のションベン。いやまだ濃いくらいです。この薄味の紅茶が懐かしいです。

12:00 でっぱつ。
今日も蛭日和。長石谷は我々にとって立入禁止区域です。ということで必然的に下りは長石尾根-三ツ口谷となります。
道の両側から覆い被さる笹は多少濡れている程度でさほど鬱陶しくはありません。快適快適。
犬星への道を分けるとだんだん空が明るくなり回復も早いでしょう。
鞍部から三ツ口へ折れます。三ツ口谷の水も多い事は多いですがここも濁りは無く蒼みのさしたきれいな水です。

三ツ口ダムの向こうには陽光に輝く街並みと青空。雲はまだ夏のものです。涼しかった秋から夏に引き戻されたかのようです。

ダムを下り三滝川沿いに降ります。藻や苔が洗い流されいつもの三滝川から清流の三滝川に変身していました。「愛知川みたい。」はちょっと大袈裟ですね。


13:15 駐車地着。
靴を脱ごうと足元を見ると、ズボンの裾にまたもや蛭を発見。汗の塩気に躊躇していたのかまだ織目にも潜り込んでいません。
おもむろにひっぺがし地面にこすり付けます。ヒル君直立してヒルダンス。涼しい所為か夏場ほどの元気はありません。
「そうかそうか暑い方が良いか。それじゃあ熱くしてやろうかねえ。」またまたライターを取り出し火炙りの刑。
たとえ1匹でも増えすぎたものを駆除するのは自然の生態系を維持する為。こうやってtanuoさんは鈴鹿の生態系維持の為、毎週戦い続けているのです。(スーパーマンみたいやなあ。)


2011年09月19日07時50分00秒 記

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