ムシムシHike

生まれてすぐ自分で地面まで降り穴を掘り、
7年間木の根から樹液を吸いながら耐え忍び、
羽化してからたったの1週間を子孫を残す為に鳴き続ける。
一生が試練の連続。もののあわれを感じずには居られません。
無事交尾できたのでしょうか? 無事産卵出来たのでしょうか。
カーナカナカナ、カーナカナカナ、カーナしくなっちゃいます。


20110730

前日、T尾さんからOさんが土曜日に御在所に来るかもしれないとのメール。じゃあ久しぶりにご一緒しましょうかねえ。何にしても仕事が忙しいのは良い事です。窓際瀬戸際予備役のtanuoさんには羨ましいような…。
夕べ早く寝た所為か4時に目覚めてしまいました。ちょっと早過ぎるのでおしっこしてからもう一眠り。
我家は今、地デジ難民でTVが見れないので早く寝付けます。睡眠導入剤と思っていたTVはその用を為していなかったようです。地デジアンテナが無くても携帯電話のワンセグで見ようと思えば見れるのですが、そうまでして見たくもなし。
一度目覚めると若い頃のようにまた爆睡、って訳には行きません。うつらうつらしているだけです。目覚ましはまだ鳴りませんが、もう起きちゃおうかな。

6:30 a.m. 中道入口駐車帯着。
今日も早く着きました。先週に引き続きまだ車は多くありません。急ぐ事もないのに車に乗るとつい急いでしまいます。長年の習性、一生この癖が治る事は無いでしょう。
車の中で優雅に音楽鑑賞しながら朝のお食事。「朝の御在所にはヘブラーのピアノがよく似合う。」なんちゃって。
そうこうしているとOさんの車が前を通過。助手席にはM先生。ほんとお久しぶりです。
準備を始めるとI夫妻もご到着。T尾さんのメールでは劔岳との事でしたが。
今日は賑やかになりそうです。


6:55 a.m. でっぱつ。
植物博士が揃い意味不明の言葉が飛交っています。なんだか外国で一人放り出されたような気配です。う〜ん、チンプンカンプン。これぞ異邦人。
スカイライン沿いはリョウブが満開です。大分草臥れかけているようで先週ほどの匂いはありません。

皆さん無意識に中道に向かいます。今日は曇っているので後頭部丸焼けにならないからいいか。流石に4週続けて本谷も食傷気味だし、観る物も無いし。
T尾さんのメールには中道にナントカトンボソウがまだ咲いていたとありましたが、道沿いのものは結実したものばかり。花が終わってもそれがそうだと解るってやはり植物博士。

今日は若い人が多いです。いや、最近はと言うべきですね。Iさんが言うには先週も若い人の大パーティが前尾根で数珠繋ぎだったそうです。一般道だけでなく藤内にも昔の活気が戻って来ているようです。これも山ガ山ボブームのおかげでしょうか。就職氷河期世代、ゆとり教育世代など社会にとけ込めない若者が山に逃げ道、いや生き甲斐を求めているのでしょうか。我々団塊世代も同様でしたから。
ん?【山ガ】とは言いますが【山ボ】も言うんですかね? モボ(モダンボーイ)モガ(モダンガール)という言葉が頭の中にあるものですから…。
街中では非常識が目立つ若者達も、山では皆謙虚かつ快活な若者本来の姿に戻ります。これも山の魔力のおかげでしょうか。
「山が人を育てる。」なんて本気で思った事はありませんが、苦楽を仲間と共にする事で謙虚さと優しさが育まれるのかもしれません。
声を交わすだけ、姿を見るだけで若者たちって何故こんなに爽やかな気分にしてくれるんでしょうね。自分の子供でもないのに何故こんなに可愛いんでしょうね。こんな事を思うtanuoさんって、やはり棺桶に両足突っ込んでいるのかも知れません。

ガスで展望が利かず全然写真を撮っていません。気が付けばもうすぐ岩稜帯。大所帯でくっちゃべりながら歩いているとつい時間を忘れてしまいます。

8:15 a.m. 岩稜帯通過。
この辺もリョウブが多いです。梅雨明け頃の花ですからもうそろそろおしまいが近付いているようです。

曇っている所為か割と気温が低く過ごしやすいです。この時期晴れていたらそれこそ中道なんて死んじゃいます。蝉が全く鳴いていないので26℃より低いのは確実です。そして風が吹くと爽やかです。国見峠、武平峠を越えて北西から大量のガスが流れ込んでいます。空も割と明るく回復傾向ですね。
写真ネタにこんなものでも撮っておきますか。


8:30 a.m. 富士見岩着。

景色が楽しめないので相変わらずお喋り。M先生から【令法飯(リョウブメシ)】の話。そんなに貧しかったのかと思ったら、研究者仲間で試しに作って食べたとの事。昔は飢饉対策として法律で栽培が義務付けられていたそうで、令法(リョウブ)と書くのもその名残とか。
またひとつお利口になっちゃいました。エッヘン。

8:35 a.m. 朝陽台着。

湿気を帯びた涼しい風が吹き寄せます。あ〜、爽やか爽やか。多少小雨もパラついていますが既に汗でベタベタの身には【蛙の顔にションベン】。いや、下品な言葉で失礼。
結実したサラサが逆立ちしています。ホント器用なやっちゃなあ。花芽は逆立ち、開花はお辞儀してぶら下がり、そしてまた実は逆立ち。
あんたは体操選手か。

アゼリア前に移動し小休止。ガスっている所為かトンボは飛んでいません。毎年この時期はタモ網を貸し出して羽根にGマーク付けをやっているのですが。
Iさんから一口ゼリーのおすそわけ。冷蔵庫で凍らしたものを持ってくると丁度解凍したてとなり食べごろです。暑い時はその口当たりがとても良くヤミツキになっちゃいます。
食うもの食ったらぼちぼちお出かけ。遊歩道を行きます。
カモシカセンター跡に鹿の一団。内1頭はじっとこちらを見ています。カモシカみたいに首は傾げていませんが、逃げもせずなんとも豪胆なヤツです。お腹が大きいのでお母さんかな? 人に限らず【母は強し】ですか。

遊歩道にもめぼしいものは無し。オトギリでも撮っときますか。


9:15 a.m. 望湖台着。
辺り一面ガスの中。今まで居た中高年軍団が「つい先ほどまで琵琶湖が見えていた。」と言います。「臭い事を言うなあ。」と思う私も同じ中高年。お互い若者のように爽やかにはなれません。あなわびし。
トンボの話になり、またひとつお利口になりました。なんでも避暑に上がってくるトンボは毎日山頂と山裾を往復しているそうです。
「えっ、毎日通勤してるの? サラリーマンと同じじゃん。てっきり山頂に住込みで来てると思ってた。」聞いて初めて知る知識。トンボも実は大変なんですね。通勤手当も出ないだろうに。

記念碑広場から峠道へ向かいます。
尾根道に出ると薄日が射し始めます。高度も下がり急に夏になります。と同時にヒグラシも鳴き始めます。ここらあたりが26℃ってところですか。
まだ気温が低いのか、先週に比べ鳴き様がかぼそいです。もっと鳴け鳴けもっと鳴け。

9:45 a.m. 武平峠着。
Oさん、M先生は所要でここからエスケープ。
つい一緒に降りようかと思う軟弱tanuoさんです。でも先程Oさんからも言われたように、メタボ予防ではなく既にメタボ治療が必要となった我が身。治療半ばで止める訳には行きません。子供たちの介護負担を少しでも減らす為、今日も痩せ痩せ、明日も痩せ。
Iさんに言われちゃいました。山に来る動機が不順だと。メタボ予防や治療の為ではなく、山への純粋な憧れやステップアップの目標達成の為でないといけないそうです。う〜ん弱ったな〜、現役の頃から元々動機が不順だったしな〜。
ともあれ怠惰な精神に克を入れ、鎌を目指して今日も行く。

10:15 a.m. 展望岩着。
天気予報通り菰野の街は快晴。暑いだろうなあ。エゾハルやヒグラシの鳴く気温が26℃。エアコンの設定温度より低いのです。そりゃ街中より涼しい筈です。この陽射しさえ無けりゃ。

山頂へ向かう途中Iさんがご臨終手前の蝉を発見。まだ辛うじて生きています。緑がかった背中の色や大きさからヒグラシのようです。エゾハルかもしれませんが、たぶんヒグラシでしょう。これがカメムシの仲間と聞くとちょっとゲンナリ。ですが生まれてすぐ自分で地面まで降り穴を掘り、7年間木の根から樹液を吸いながら耐え忍び、羽化してからたったの1週間を子孫を残す為に鳴き続ける。一生が試練の連続。もののあわれを感じずには居られません。
無事交尾できたのでしょうか? 無事産卵出来たのでしょうか。カーナカナカナ、カーナカナカナ、カーナしくなっちゃいます。

10:40 a.m. 鎌ヶ岳山頂着。

相変わらず雨乞岳はガスに閉ざされています。南側は風が無いので北側に戻りお昼の仕度。面倒なのでお湯も沸かさずコンビニオニギリを頂きます。冷めても美味しいコンビニオニギリ。

11:00 a.m. でっぱつ。
長石谷の水辺の女王様の偵察をと思っていたのですがまだ全然との事。蛭の危険を犯してまで行く事もないので今日はパス。尾根から三ツ口谷経由で降りる事にします。

三ツ口谷最後の滝で偵察しますが花芽はまだ全然付いていません。こりゃ大分先ですな。


12:15 駐車地着。
さあ今日も希望荘。あのケーブルカー面倒だなあ。下の駐車場から入れてくれれば良いのに。


2011年07月30日21時55分00秒 記

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