春の宮妻右回り

思っていた以上に華やかです。
行けども行けどもイワカガミ、
これは当にイワカガミ街道。
いちいち立ち止まって写真を撮っていたのではキリがありません。
そして石楠花も咲いています。
ちょうど良い時期に来たものです。


20110515

5/14(土)は雑務で欠勤。それで今週の御在所通勤は日曜に振替えです。
準備に手間取り、いつもより若干遅れて家を出ます。それでもさすが日曜日、道路の空き具合は土曜日の比ではありません。いつものコンビニでエサを調達し、時計を見ると6:20 a.m. です。「いつもと変わらんじゃん。」
そのまま御在所に向けて進みますが、ここではたと気付きます。このままだと到着は6時半過ぎ、日曜なら料金所跡はもう満杯です。先日も蒼滝橋まで引き返したのでした。「また裏道かよ。」と思った瞬間、「そうだ、今日は宮妻。」
4月末に鎌から見た宮妻峡、雲母峰や入道の山裾が新緑と開花で彩られ凄く綺麗でした。今日はもう下の方は遅いでしょうが、イワクラ尾根、鎌尾根などの稜線上は花の盛りの筈です。
かみさんから今日は早く帰るよう言われていたので、鎌か入道から登って水沢峠を降れば温泉に寄っても充分早く帰れます。
てな訳でミルクロードを左折、宮妻峡に向かいます。雲ひとつ無い晴天、お花見には最高の日和です。

6:45 a.m. 宮妻峡駐車場着。
林道沿いの駐車スペースに2台ほど停まっているだけで下の大駐車場にはまだ1台も停まっていません。
トイレに近いので下の駐車場に停めます。先ずは朝のお勤めを済ませて…。


7:10 a.m. でっぱつ。
林道を登るのが億劫なので再度キャンプ場へ降り入道新道へ出ます。
暫く好天続きだったにも拘わらず内部川の水量は多めです。

石飛びで対岸へ移るとすぐ急な登りが待っています。
足元には藤の花が落ちています。里がニセアカシアの花の甘い香りで満たされる頃、山では野性の藤蔓が一斉に咲き誇ります。里は白、山は薄紫、いずれも人に振り向かれる事もなく、それでも精一杯季節を訴えています。

あいも変わらずここの登りはきついです。いきなり大汗の洗礼を受ける筈が今日は気温が低く、そして樹林帯の中にも拘わらずけっこう風が通りとても爽やかです。これなら大汗で消耗する事もないでしょう。それでもやはり長袖は似合いません。脱いだシャツをザックに仕舞い夏姿に変身します。

急なジグザグが終わり東からの日が射し込むようになると小尾根に出ます。傾斜も落ち後はこの尾根に沿って上ります。疎らな潅木帯の中、明るい陽射しを受け、今までの陰鬱な急登と全く世界が変わったように感じるところです。

数年前からのジネグで、枯死した笹の桿だけの叢が続きます。山頂の笹もすっかり元気がなくなりその丈もせいぜい足首あたりまで。胸までもある笹は今では遥か昔の事です。
暫く登り左手に巻くようになると馬酔木林となります。既に馬酔木も花期を終え米粒のような落花が地面を覆っています。落ち残った花の上には赤みを帯びた新芽が伸びています。もう5月も半ば。時期としてはそうなっていてあたりまえ。

馬酔木のトンネルを潜り前が開けると今度は黄色の落花帯。シロモジ林です。殆ど花の落ちた枝には萌黄色の若葉が花のように天に向かって伸びています。
そして足元のシダはかなり葉を広げ、もはやワラビとは言うには憚れるようになっています。

ワラビ地帯を過ぎるとまた馬酔木トンネルの下の粘土質の急登。ここを上りきると痩せ尾根となり北西側が開け、鎌尾根、鎌、御在所が望めるようになります。
足元にはイワカガミ、あちこちに時期遅れのミツバツツジ。

そして樹林帯を抜けると眼前に入道の笹原が広がります。大波小波の笹の海、点々と浮かぶアシビの浮島。入道独特の景色です。
その浮島に混じってシロヤシオの浮島もあります。もうかなり咲いています。こりゃあイワクラ尾根はシロヤシオが満開かもしれません。


8:25 a.m. 北尾根の頭。
遮るものの無い山頂部、爽やかな風が吹き抜け柔らかな陽射しに包まれまるで天国。気温の低さに騙されてはいけません。後一月少々で夏至、既に陽射しは夏のものです。この時期の太陽を侮ってはいけません。強烈な陽射しで冬の間隠されていた首筋二の腕などを気付かぬ内に焼き尽くしてくれます。早速ハンカチカーテンで首筋の日焼け防止。


8:35 a.m. 大鳥居着。
  

奥の宮へ向かいます。
池が谷からの盆地経由で行きます。ここの笹もすっかり勢いを無くし丈はくるぶし程度しかありません。疎らに残った笹はもう枯死寸前のようです。


8:40 a.m. 奥の宮へ寄ってからイワクラ尾根へ向かいます。

枯葉で滑り易い降りです。スニーカーでは緊張します。
アカヤシオは完全に散り落ち、ミツバツツジもかなり傷み、シロヤシオの最盛期のようですが花数が少々不足気味です。それを補うかのように足元にはイワカガミが乱れ咲き。

思っていた以上に華やかです。行けども行けどもイワカガミ、これは当にイワカガミ街道。いちいち立ち止まって写真を撮っていたのではキリがありません。
そして石楠花も咲いています。ちょうど良い時期に来たものです。

足元ばかりに気を取られていましたが、見上げると真っ青の空を背景にシロヤシオが透過光に輝いています。本当に遠慮がちな清楚な花です。


9:30 a.m. イワクラ着。
 

まだこんな時刻、今日は気温も低くコンデションは上々。天気もご覧のとおり。水沢峠からエスケープするのはもったいない。じゃあこんなところで油を売ってないで先を急いで鎌まで行きますか。
尾根上は相変わらず花盛り。ところが県境尾根に折れると蕾が多くなります。まだ開花するほど気温が上がってないようです。
代わりにミツバツツジが見頃です。


10:10 a.m. 水沢峠着。

そのまま一気に水沢岳へ登り始めます。
ここの急登を越えれば小さなピークしか無いのでそうしんどくはないでしょう。などとたかを括っていましたが既にこの時点で私の脆弱な身体はとんでもない疲労を抱え込んでいたのでした。

10:30 a.m. 水沢岳着。

  丁度三角点辺りで先行者が休憩中。ならこの先のガレの上まで行っちゃいましょ。あそこなら鎌も見えるし。
そしてガレの上まで来ると丁度団体さんが下降中。鬱陶しいのでパスる為にも先を急ぎます。途中で横から追越し先へ出ます。
辺りには石楠花が咲き始めています。イワクラ尾根ではあまり見かけなかったタテヤマリンドウもそこらじゅうに咲いています。


この先の草原状のところで小休止と目論んでいたらそこにも小グループが。「ついでだ追越しちゃえ。」笹の衰えた叢を通り登山道をショートカットして先に出ます。
その先の緩やかな登り、なんだか膝に力が入りません。無理やり踏ん張ると異様なほど疲労を感じます。ついついオーバーペースに陥っていたようです。考えて見ますと入道の登りから水一滴飲んでいません。爽やかな風と気温に騙されて口渇すら感じていなかったのです。しかしこれまでの時間、かなりの水分が身体から奪われている筈です。どこかで一本立てようと思いながらもせっかくパスったのだからすぐ追越されるのもいやらしいのと適当な場所が無いのとでなかなか休めません。そうしている間にも身体から水分と一緒にミネラル分も失われて行きます。ほんとドアホウのtanuoさん。

結局屏風岩まで来てしまいここのピークで小休止。水分だけでなく燃料補給も少々。でもこの燃料が燃えるにはしばらく時間がかかるんですね。

休憩がてら何人かをやり過ごします。今来た稜線を見ているとまた大人数の団体さんが近付いてきます。もう少し休んでいたいところですがあの団体さんが来る前にでっぱつしたいです。
老骨に鞭打ちでっぱつです。両足がまだ悲鳴を上げていますがそれを黙殺して強権発動。ストライキ起こさなきゃ良いのですが。
それからは両のアンヨを騙し賺しの行軍です。「あ〜、やはり水沢峠から早仕舞いするんだった。」後悔先に立たず。ピークといってもそう大きなものは無いのですがそれでもそのひとつひとつが死ぬ思いです。尾根上には石楠花があちこちで咲いています。これを見逃す事も出来ず、多少外れていても撮り易いところを探し木に登ったりと、道草を食いながら行くので余計に疲れます。「ひ〜、死ぬっぴ〜。」

後ろから近付いてくる3名ほどの若者達。やり過ごそうと道を外れ岩の上に立ちます。ところがその連中そこでストップ。内心「早く行けよ、鬱陶しいなあ。」
そこへ次の集団がやってきます。どうやら同じグループのようでペチャクチャとおしゃべりを始めました。「なんだ、結局タイムロスじゃないか。」足は言う事を聞いてくれないわ、時間はどんどん過ぎて行くわ。「こりゃ下手をすると温泉に浸かる時間が無くなっちゃうぞ。」

  11:50 a.m. なんとか鎌尾根P-1に辿り着きここで昼食タイム。

ここは登山道から少し離れているので人に煩わされる事もなくのんびり休めます。
ニゴリ谷源流部を挟み正面の鎌山頂には凄い数の人並み。それを見た瞬間、「山頂はパス!」

そうと決まれば後はじっくりと足を休めて燃料補給と脚力回復を図りましょ。


12:30 でっぱつ。
まだ回復には覚束きませんが騙し騙しカズラ谷道を下ります。

この時刻なら湯ノ山に寄って温泉も可能でしょう。でも湾岸道を使う事を覚悟しなければなりません。「まっ、偶にはいいか。」

なんとか事故も起こさず降りて来れました。足がもつれて転落なんて洒落にもなりません。は〜良かった良かった。しかしほんの少しのオーバーペースだけでこれほど疲れるとは!寄る年波には抗えませんなあ。

 
13:50 駐車場着。
さすがに今日のような天気ではやってくる車も多いようです。下の大駐車場も満杯です。

さっ、早く片付けて湯ノ山へ。

つい先日、名古屋市高速が湾岸道と繋がったそうです。名古屋南ICから話の種にこちらに入ります。高架と地下、半地下が連続するチョット幅の狭い二車線道路をひた走ります。植田ICで降りると料金ゲートは無く、一時停止ライン上のアンテナと通信しているのでしょうか、「払い戻しは50円です。」のアナウンス。名古屋南ICのゲート通過時に「料金は1000円です。」とアナウンスしていたから都市高速に入った時点で全区間分先払いになるようです。(東名阪はよく渋滞するのでいつも川越から入ります。)
思わぬ出費を蒙ってしまいましたが、おかげでなんとか指定時刻にはセーフ!
偶々珍しくS司も居合わせたので、久々に3人でディナータイムデート。子連れでデートっていうのも変かな?


2011年05月16日21時55分00秒 記

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